恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
「先輩はご自身が異動になるって、いつから知ってたんですか?」
「うん? えーと、一ヶ月前だな」
「それはどうやって知ったんですか?」
「そのさらに一ヶ月前に、俺が自分で異動願を出してた。それが受理されたって部長から知らされたのが先月」
「異動願……?」
先輩は二ヶ月前に異動願を出していた。
それって、ちょうど、私と組んで企画をしたり、私の初の企画商品を相談したりしていた頃だ。
先輩はそのころから、異動したかったということ?
……どうして?
「俺さ、商品開発部に来てからずっとマーケティング戦略に興味があったんだよ。商品開発部はもう四年以上になるし十分だろ?いいかげん十月からは別の場所に行きたいからさ」
それは、そうかもしれないけど……。
先輩は何とも思わなかったの?
私ともう少し一緒に仕事をしたかったとか。
だって私たちはまだ半年しか一緒に働けてない。
先輩は異動になって私と離ればなれになっても、全然構わないって思ったの?
私はぐるぐるとそんなことを考えていて、やっと気づいた。
これが先輩の嫌いな「公私混同」だってこと。