恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
先輩は私とは違うんだ。
自分のやりたい仕事に向かって精一杯努力して、前を向いて頑張るだけ。
そこには仕事以外の興味は何もない。
先輩と一緒にいたくて、先輩の栄転に素直におめでとうって思うことができない私なんかとは、根本的に違う。
私は先輩の言ってくれた「プライベートと仕事を分けられる奴」ではなかったのだから。
「あの、先輩……」
「ん?」
でも私は最後の力を振り絞って、笑顔を作った。
ここで「先輩と離れたくないです」なんて言ってしまう後輩なんて、先輩はきっと嫌いになる。
最後の最後で、先輩に嫌われたくない。
「本当におめでとうございます!私、自分のことみたいに嬉しいです!」
嘘でもいいから、先輩におめでとうって伝えなきゃ。
「水野……」
「だって、やっぱり先輩ってホントにすごいなーって感動しちゃいました!私もこれから先輩みたいにやりたいことを探して、それに向かって頑張ります。まずはマルシェを成功させますね!あ、リフレシリーズも私に任せてください。どんっどん新商品を増やして、守っていきますから!」
「おう、頼んだぞ水野。ありがとう」