所長による小動物系女子の捕獲計画
翌日の打ち合わせは夕方4時。スッキリした頭とビジネスに適した服装で、時間に遅れる事なく来られたのは名切元さんの慧眼のおかげだ。

昨日、昼前から仕事に没頭した俺が現実社会に戻ったのは日付が変わったあとだった。

仕事が立て込んでいるのでアシスタントの稲田はまだ事務所にいたが、それでももう片付け終わるところ。勿論、事務の名切元さんは帰宅済みだ。

稲田に気を付けて帰るように声をかけた後、俺はいつものようにミニキッチンに足を向ける。

そこにはコンビニのおにぎりとカップ味噌汁。ちゃんと俺の好きな昆布と明太子なのを確認して、思わずニンマリと笑ってしまう。


俺の仕事中心のライフスタイルを知ってから、名切元さんは自分が帰宅する前に軽食を用意してくれる。そうでもしないと、面倒くさがって俺は食事も睡眠も丸一日くらい平気で抜くからだ。

一緒に働き出して数週間後に、空腹と睡眠不足でぶっ倒れた時には本気で怒られた。三十過ぎた大人がこんなにみっちり怒られるなんて、なかなかないだろうってくらい。

「元気に生きてないと仕事も出来ないんですよ!」と言った彼女の目には泪が溜まっていたっけ。
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