所長による小動物系女子の捕獲計画
「そうですか」

そのまま、無理に会話を重ねる事なく、ゆっくり静かに時を過ごす。ただそれだけ。なのに。時々隣から感じる気配が俺の気持ちを落ち着かせてくれた。

「きっと、ですけど。染谷さんは誰かのせいじゃなくて、ご自分で決めた人生に後悔はしてないと思いますよ?」

ギムレットのおかわりを頼んだ後、名切元さんが小さな声で話しだした。

「染谷さんだけじゃなくて、私だって多和田さんだって、みんな誰かの影響を受けて生きています。恩師の教えだったり友達の何気ない一言だったり、毎日一緒に生活する親の姿だったり。そこから何を学んで、どうやって生きていくかは其々の選択で自由ですし」

「俺が染谷の選択を残念だと思うのは間違ってる?」

「いえ、間違ってるとは思いません。自分がやめてしまった事を誰かが残念に思ってくれるってちょっと嬉しいですし、ね?」

「そうだな。じゃあ、誰かがその道を諦めてしまうくらい才能があると思われた事は喜んでいいかな?」

大きな目が更に大きくなった後、いたずらっぽくきらめいた。
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