所長による小動物系女子の捕獲計画
相変わらず繋がれたままの手と、少し赤い多和田さんの顔を見て頬が緩む。

アドルフさんに揶揄われたときに多和田さんに「大切な人」だと紹介されて、私は嬉しかった。

束縛されたいとはやっぱり思えないけど、多和田さんの隣に私の居場所がずっとあればいいのに、とは思う。彼といろんな事を共有出来たら楽しいだろなって。

「ここはね、アドルフがドイツから移築した建物なんだ」

「じゃあ、本物のお城なんですね」

「元は、ね。移築する時に随分変えてるから、今はお城って言うより秘密基地だな」

「オトコの憧れだろ?私にはそれを可能にする才能があったからね」

私達のやり取りを聞いて、アドルフさんがウィンクしながら教えてくれた。どうやら遊び心がある人らしい。

「ヒロトは昔、この秘密基地を探検しようと忍び込んで来たんだ」

「え!?」

「まさか人が住んでると思わなかったんだよ。それにまだ、子どもだったし」
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