所長による小動物系女子の捕獲計画
「なんか色んな事がありすぎたなー」

バタンと閉めた玄関ドアにもたれて、確認するように声にした。

多和田さんに抱きしめられて目覚めた朝から、大切な場所や人を紹介してもらって、建築士になるきっかけも教えてもらって。今日一日で、出会ってからの一年より沢山の多和田さんを知った気がする。

「沢山ってより、深く、かな」

呟きながら、頬は微かに緩む。随分と久しぶりの感情に戸惑ってしまうけれど、否定出来ない。
私は多和田さんが好きなんだ。だから急に近くなった距離にも、触れ合いにも心地よさを感じるんだ。

改めて自覚した想いに赤面しつつ、はっとする。

「大人の女性なら、お茶のお誘いくらいすべきだった?」

そういえば、多和田さんも私の部屋に入るぞって脅し文句のように言っていた。でもあれは、お茶じゃなくって、やっぱりそういう意味だよね?

でも、気持ちが確認出来たのは今日だ。いくらなんでも急過ぎだと思うけど、大人の恋愛ではアリなんだろうか?

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