所長による小動物系女子の捕獲計画
「‥‥え?あれ?」

違う、確認したのは私の気持ちだけで、多和田さんから何か言葉をもらった訳じゃない。仕草や行動から私への好意は感じたけど、決定的な言葉を聞いてはいないんだ。

「どうしよう‥‥」

確認したい。でもそんな束縛するような行動、取っちゃいけないとも思う。もしかしたら多和田さんだって急に気持ちの変化を感じて戸惑ってるのかもだし、まだ確信してないのかもしれない。


近付きたい、でも近付いて傷付けたくない。


初めての大人の恋は分からない事だらけで、立ち竦むしか出来なくて。いい年して何やってんだか、と自分が情けなくて涙まで浮かんで来た。

「莉乃っ!」

その時、いきなり背中に強い衝撃を感じて、ドアを振り返った。

ドンドンとドアを打つ音と私の名前を呼ぶ声。

「多和田さんっ!!」

鍵を開ける数秒さえまどろっこしく感じるながら急いで扉を開けたら、大好きな温もりに性急に包まれた。
< 72 / 80 >

この作品をシェア

pagetop