Memory Puzzle
次の日の朝、何事も無かったようにお父さんはご飯を食べ仕事に出て行った。
「姉ちゃん、本当に大丈夫?」
雪斗は、真面目な顔で聞いてきた。
「うん。お父さんも疲れてるんだよ…。」
時音は、力の無い声で答えた。でも、笑顔を作って。時音自身、ちゃんと笑えているかはわからなかった。
「もう行かないと遅れるんじゃない?」
時音が声をかけると雪斗は、
「ヤベ!行ってきまーす!」
と言って出て行った。雪斗を見送った後、時音は皿を洗い洗濯物をたたみ、干し…。ひと通りの家事をパパッと終わらせ、ひと息をつく。時音の手際の良さは大分板に付いてきた。
「お風呂入ろうかな…。」
時音は、思い出したように呟きお湯を貯める。準備をして風呂に入った。
桶で、湯船からお湯をすくい肩にかけお湯に浸かる。
時音は、ふぅ〜と息をついた。そして今まで恐くて見られなかった、お父さんに蹴られたところを見ることにした。
「冷静に。大丈夫。」
そう自分に言い聞かせ、お父さんに蹴られたカラダを見た。
時音は、唇を噛んだ。お父さんが手当をしてくれた手足だけでなく、お腹や背中にも沢山のアザがあったのだ。
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