41才の中学2年生

職員室に来なさいっ!


オレ、確かこの娘とはよく話たんだよな~…

どういうワケか彼女も他の連中とはあまり会話をしないんだけど、オレにはよく話をした…

なんつうか、波長が合うというヤツ?

勉強も出来て、水泳部では背泳ぎで都大会にも出場した程で、文武両道、才色兼備?合ってるかどうかは解らんけど、そんな人物だ。

ただ、なんつーか、ややコミュ障というのかな、ボソボソと喋るし、あまり人と会話をしたのを見た記憶が無い。

顔もこのクラスの中では断トツに可愛かった、うん!

美少女?そんな感じだった。
黒のショートボブのヘアスタイルなんだが、目は大きく少しつり上がって、シャープな輪郭。

芸能人で言うと誰に似てる?って言われると困るが、顔のパーツはかなり良い。

しかし、入学当初からショートボブというか、オカッパ頭で、前髪はきれいに眉毛にかかるぐらいに切り揃えて、オレたちはよく
【デザイアー】と呼んでいたw

(デザイアーを知らない人は中森明菜で検索してくれ)

黒髪なんだが、自然の黒というよりは、カラーリングしたような真っ黒な色、それを見たオレか泰彦のどっちかが、

「デザイアーじゃねえか、あの頭w」って言ったのがきっかけだったような…

しかも黙ってると、不機嫌そうな顔に見えるから、知らず知らずのうちに話し掛けなくなっていった。

別に不機嫌な顔なんじゃなく、目が少しつり上がってキリッとしてるから、無表情でも怒ってんじゃねえの?ってな感じで近寄らなかった…確か記憶ではそうだったはず。

そうか、オレはこの時、恵の隣だったのか…

何だか色んな事がゴッチャになってよく思い出せん!

しかも席が超アリーナってのが…

先生「はい、じゃあ今度こそホントに授業始めますよ」

…ようやく授業が始まるのか…

あ、そうだ教科書を出さないと。
オレは机の中に手を突っ込み、国語の教科書を出した。

…あれ、先生黒板に何か書こうとしてるけど、チョーク持ったまま固まってるぞ?

オレ「あぁっ!」

そうだ、すっかり忘れてた…

さっき黒板に【金澤龍也VS山本智、敗者坊主頭デスマッチ】って書いたのすっかり忘れてた!

先生「これ書いたのは誰ですか…?何なの敗者坊主頭って?」

…オレを見るなっ!っていうか目の前の席だからどうしてもオレの方に目がいくのは仕方ないんだが…

先生「あれ、金澤くんは?金澤くん!今日休みじゃないわよね?何処にいるの?」

オレ「あ"ぁっ!」

やべっ、龍也大の字で倒れたまま誰も起こしてねえよっ!

先生「何なの、さっきからああっ!って?山本くん、これ書いたの貴方でしょ?金澤くん!いないの?」

誰か起こしてやれよ、アイツずっと床でぶっ倒れたまんまじゃん!

先生「金澤くん!どうしたのこれは?」

龍也は窓際の隅っこで失神したまんだし…

龍也「…ん?何だ、何でオレこんなとこで寝てんだ?」

先生のキャンキャン喚く声で龍也は意識を取り戻した。

先生「金澤くん…何でそんなとこで寝てたのかしら?しかもおでこに落書きなんかして…」

『プッ、クスクスクス』

『おでこに肉だってよw』

『キン肉マンかよ、アイツは』

龍也「…何だこれ?誰だ!オレのおでこにこんな事書いたヤツはっ!」

『ギャハハハハハ』

皆、大爆笑してやがるw

オレなんざ龍也に指差してゲラゲラ笑ってやった、ザマーミロ、バカが!

ウワハハハハハハハハハ!

先生「はぁ…何なのあなたたち!窓ガラスが割れてるわ、落書きするわ、金澤くんは寝て、おでこに落書きしてるわで…そんなに先生の授業を受けたくないのですかっ!」

あちゃ~、完全に怒らせちゃった…

先生はすぐさま教科書を閉じ、黒板に【自習】と大きく書いた。

先生「金澤くん、山本くん!今から職員室に来なさいっ!」

職員室に呼び出しかよ…オレ中2になってるけど、実際は41才だぞ?

まさかこの年で職員室に呼び出しって…


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