へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「フォルスティア学園……?」
「この森の近くにある魔法学校のことだよ。魔力を持つ者だけが入学を許される学校なの。あなたも魔法使いなら入学できる。それにあなたの記憶が戻るように、先生たちも何か協力をしてくれるかもしれない」
ようやく私を振り返り見た少年は、目を見開いて驚いていた。
私の突拍子ない提案に戸惑っているみたいだ。
「それにもし帰る家も忘れてしまったのなら、フォルスティア学園には寮があるの。記憶を取り戻すまでは、とりあえず寮で生活をするべきよ!」
魔獣から命を救ってもらったお礼として、私が彼にしてあげられるせめてもの恩返し。
それが、少年の失われた記憶を取り戻す手助けをすることだと思った。
それに何よりも、間違いなく上級の魔法使いである少年の正体を私も知りたいと思ってしまった。
「いや……でも俺は」
「いいからあなたも一緒に来て!とにかくまずは、この森を出よう!」
「あっ、ちょっとキミ……!」
「走って!早く!」
表情を曇らせたままの少年の左手の手首を掴むと、フォルスティア学園に向かって風のように走りだした。