へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
ルキも私のバカさ加減に、すっかり呆れているだろうなと思いきや。
「メイベル。さすがに寮の出入り口の前で魔法を使うのは堂々とし過ぎてるから、もうちょっと寮から離れた目立たない場所に行こう」
いつものように優しく笑いながら、くるりと私に背を向けどこかに歩きはじめた。
ふかふかの草地に散らばる枯れ葉を踏みながら、どんどん寮から離れていくルキを慌てて追いかける。
「ねぇルキ、どこに行くの?」
「すぐ近くだよ。通学路の白い小道まで出たら、そこで魔法を使って魔獣をつくってみるよ」
ルキは歩くのが遅い私に合わせて歩調を緩め、言葉のとおりフォルスティア学園がある方角に向かって歩いている。
ほどなくして学園に向かって真っ直ぐ伸びる白い小道が見えてきて、その脇にある外灯の下で足を止めた。
「ここなら明かりもあるし、寮から俺たちの姿は見えないから大丈夫だよ」
さぁ、どんな魔獣をつくろうか?と問いかけられ、赤いチェックのマキシ丈ワンピースのようなパジャマのポケットから、1枚の紙切れを取り出した。
「あのねっ、これはモデムっていうタイトルの、可愛い魔獣やかっこいい魔獣がたくさん載っている雑誌のうちの1ページなんだけどね……」
毎月1日になると発売される魔獣専門の雑誌『モデム』は、私が魔法の教科書の次によく読む本だ。