へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


「メイベル、もう目を開けても大丈夫だよ。ごめんね、ちょっと眩しかったかな」

「あっ、ううん。大丈夫だよ」



恐る恐る両目を覆い隠していた手を退けると、目の前に立っているルキの手のひらには小さな魔獣が乗っていた。



「あーっ、すごい!可愛いっ!」



ルキの右手のひらに乗っている魔獣は、雑誌のとおり純白なふわふわでもふもふの綿菓子みたい。

長く垂れさがった大きい耳はまさにウサギのようで、まん丸の目が大きな顔は愛らしく、ハムスターにも似ている。

そして背中には小鳥のような羽が……ってあれ。

羽が見当たらない。



「ごめんねメイベル……雑誌の魔獣とはなんだか違うよね。ちゃんとイメージしたはずなんだけどな…」



違う、と言われれば確かに違うような…。

羽がないこと以外にも、長くて大きい耳は前足に届きそうなほど長いし、4本の足は黒い靴下を履いているみたいだ。



「でもいいのっ!可愛いからいいの!おいでっ、魔獣ちゃん!」



ルキの手から魔獣を両手ですくいあげようとすると、魔獣は「ピギーッ」と声をあげ、ルキの右肩の上に目にも止まらぬ速さで逃げてしまった。



あぁ、そうだったそうだった。

魔獣は創作主以外の人間には、触れられることも嫌えば寄り付きもしないんだった。

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