へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


サマラさんに会うこともなく無事に脱走を果たせた私は、昨夜もルキと会ったあの外灯まで走った。



「ルキっ!」



外灯に照らされた白い小道にはすでにルキがいて、ぼうっと森の方向を向いたまま立っていた。

ルキはすぐに私の存在に気がつくと、頬を綻ばせ右手をひらひらと振ってくれる。

ピーちゃんもルキに会いたかったのか『ピギッ』と短く鳴くと、私の肩をするりと降りてルキの足から肩へと素早くのぼった。



「ははっ、なんだよびっくりするから」

「ルキ、これ……今朝貸してくれたマント。ごめんね、すぐに返せなくて」



微笑みかけながら、両手に抱えていた黒いマントを差し出した。



「体調が悪いって聞いたから心配してたけど……あんがい元気そうで良かったよ」



ルキは私の手からマントを受け取り、ほっとため息をつきながら笑いかけてくれた。



それだけのことなのに、ぼっ、と顔に火でもついたように熱くなってくる。

それと同時に胸の鼓動もどきん、と跳ねあがる。



「あっ……あのねルキっ‼今日は励ましてくれてどうもありがとうっ‼」

「いやいや…感謝されるほどのことはしてないよ」

「ううんっ‼だってルキだけだったから、私に優しい言葉をかけてくれた人。だからすごく嬉しかったし、助けられたんだよ」



ルキはほんの一瞬驚いたように目を見張ると「それは良かった」と、また天使のような微笑みを返してくれたもんだからドキッとした。

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