はたらかなくても、はたらいても君が好き
「あの…近下部長。行かないで下さいよ…。
行くなら、これも持っていって下さいよー!!!」
近下部長は電話に集中しているのか私の言葉が届いてないらしく私に背を向けると、振り返る事なく、私から逃げるように走って去っていった。
走って追いかけたくても、追いかけられない…。
段ボール箱が重すぎて…。
近下部長…。
私、遅刻です…。
終わった…。
いや、待って…。
腕時計の時計を見る。
8時57分…。
これはどう頑張っても間に合わないなぁ。
間に合わない…けど。
急ごう!!!
でも、この重たい段ボール箱を持って階段を上がるのは無理だ。
エレベーター…。エレベーター…。
チンッ。
音が鳴り、エレベーターが開いた。
中から土方(ひじかた)専務と専務の秘書が出てきた。
「おはようございます」
「おはよう」
専務達が会社から出る。
乗りたい…。
でも、そのエレベーターは役員用のエレベーターで私みたいな新人社員が乗ってはいけないのだが、私が乗れるエレベーターはまだ1階まで降りて来ていない。
役員用のエレベーターを覗いてみる。
誰も居ない…。
すると、役員用のエレベーターの扉が閉まっていく。
乗っちゃった…。


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