はたらかなくても、はたらいても君が好き
「理性が…また働かなくなったんですか?」
「違う…」
違う?
「増月社長…。昨日私に言いましたよね?
『理性が…働かなかった』からだって。だから私にその…」
「そうだ…」
「そうなんですよね? だから今回も…」
「確かに…。エレベーターに乗ってきたお前を見た時、一瞬理性が働かなくなった」
「一瞬?」
「ああ…。すぐにお前から目をそらしたからな…」
「じゃあ…。理性は…働いていた…って事ですよね?」
「ああ…」
「なのに、私にキスしたんですか?
何で…」
「キスしたいと思ったからだ。
お前に…」
嘘…。
「だから俺は
お前にキスをした…」
嘘でしょ…。
「増月社長…。何言って…」
「俺は今も…
お前にキスしたいと思ってるよ…」
嘘じゃ…ないの?
増月社長の顔がゆっくり私に近づいてくる。
この速さなら右の方に移動して逃げる事も出来るし、持っている段ボール箱を下ろして増月社長を止める事も出来る。
だけど…体が動かない。
動かさなきゃ…。
どうしよう!
もう、来ちゃうよ!!!
顔をそらして!! 顔をそらして!!
そう、思いたいのに…。
増月社長の唇が
私の唇に
合わさる…。
思いたかったのに…。
思えなかった…。
どうやら私…。
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