はたらかなくても、はたらいても君が好き
私はゆっくり目を閉じた。
増月社長とキスがしたいみたい…。
「増月社長!!!」
突然、居るはずのなかった男の人の声がして、増月社長は私の唇から離れ、私は閉じていた目を開いた。
「黒井…」
エレベーターはいつの間にか社長室がある15階に到着していたらしく、エレベーターの扉が開いていた。
そして、黒井秘書が立っていて、こっちを見ていた。
ニコッとは真逆の厳しい顔をして、私を見ている。
怒…ってるよね?
前は会議中に増月社長にキスされて。
今度はエレベーターでまた増月社長にキスされている。
怒る。怒る。
「黒井…悪い。俺…」
「社長がまたキスを。
申し訳ございません」
黒井秘書が私に向かって深々と頭を下げる。
「いえ、そんな…。顔を上げて下さい」
怒って…ないの?
黒井秘書が私に言われた通り。
ゆっくりと顔を上げる。
「黒井…。謝らなくていい…」
「社長!! 何言ってるんですか!!! 彼女は嫌なはずです。不愉快なはずです。だって好きでもない男に2回もキスされたんですから。それは謝らないと。ほら、社長も謝って…」
「謝らないで下さい。別に私は嫌とか、不愉快な思いとかはしてな…」
「そうですか。では、社長。
社長室に行きましょうか」
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