【BL】お荷物くんの奮闘記

 目が覚めるとそこは空の塔最上階で、身体中傷だらけだった自分もリュータも回復魔法を施されていた。

部屋の隅でこちらを見ているヴェルターの足元に、リュータの剣や外された自分の防具がまとめて置いてある。

回復をプロフェットがやったのかどうかは分からないが、ここまで運んできたのはヴェルターのようだ。身を起こした際にばっちり目が合って、彼が歩み寄ってくる。


「気が付いたか」


「ヴェルター、オレ達をここに運んできたのって」


「オレだ」


「そうか。助かった、ありがとう」


 リュータはというと、まだ隣で眠っている。


「これは?」


「あ、スマホ。ありがとう、落としたまんまだったわ」


 ヴェルターが拾っておいてくれたらしい。差し出されたスマホは雨が降ったのか、カバーが少し濡れていたが画面は問題なく起動した。
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