【BL】お荷物くんの奮闘記
「これは伝染病みたいなもの。この世界、特にこの国には元々、こういう病が流行る可能性がありました。先代勇者はその病の原因を根絶するため、「勇者の遺志」を残したんです」


 病気ってことにしてしまえ、で落ちついた。


「しかし「勇者の遺志」は、その通りに実行できる者が現れない限り効果を発揮しません。だからこの国に伝染病が持ち込まれた際に、この国で爆発的に広まっただけだ」


 よしよし良い感じにまとめられた。内心満足していると、一歩後ろをついてきていたリュータが声を上げる。


「持ち込まれた? え、でもユウジ」


 一緒にゲーム画面を確認しておそらく内容を理解しているであろう彼の口を手で塞ぐ。余計なことを言われる前に、耳打ちした。


「勇者の遺志が、勇者ダイゴが残した「バグの解消法」だったことは分かってるな? その道のプロの仕事だぜ、それが原因でバグを生むなんてアホらしいことはしないはずだ。

万一誰かが序盤のプロローグを読んじまっても問題が起きないように配慮してある」


 リュータが小さく相槌する。


「バグの原因には、さっき言われてた「少年の姿をした悪魔」が絡んでる。……たぶんそいつは、レツだ」
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