【BL】お荷物くんの奮闘記
「じゃあ、オレとリュータで行ってくる」


「強敵なんだろう。オレも手を貸そう」


「無論、私もお供します。ユウジ様」


 リュータに続いて、ヴェルターとノアまで名乗りを上げた。


「あ、ありがたいけど、誰か残って東国の様子見ておける奴いないと……」


「でしたら、これを彼女に使っていただきましょう」


 言ってノアが占い師の女性に視線を送る。ノアの懐から出てきたのは、布切れで作られた丸いものだった。


「国を救うためだ。ご協力いただけるかな」


「は……はい。私に出来ることであれば」


 丸いものは顔を引き締めた彼女に手渡される。彼女はしかと受け取りましたとばかりにガチガチに固まっていたが、掌に乗っているのは明らかにマジックアイテムではない。


「ノア、それ……」


「大賢者様の書物を拝見した際に制作したものです。これは異世界の呪術的アイテムだと、作り方まで端書きされていらっしゃったではないですか」


 師匠そんなもん残すなよ。呪術的アイテムって。いやダイゴの方がユウにふざけて変な教え方でもしたんだろうか。リュータと二人で密かにアイコンタクトを送り合う。


 てるてる坊主。


 うん、てるてる坊主だね。
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