【BL】お荷物くんの奮闘記
 斧を振り上げる彼の直線上から右に回避する。斧は翠風をまとって衝撃波を飛ばし、後衛の自分やプロフェットたちの元まで届いた。


 距離がある程度離れていれば、後衛の身体能力でもこの手のソニックブーム的な攻撃は見切ることができる。

リュータとヴェルターが二人がかりでレツに攻撃を仕掛けたが、斧の柄でヴェルターの槍をいなし、刃でリュータの剣を受け止めた。


「なあ、今日本って西暦何年?」


 攻撃を受け流しては反撃に繋げ、その反撃を後衛による魔法で防がれ、という拮抗した戦闘を続けながら、レツが世間話でもするような口調で話しかけてきた。


 突然の問いに混乱しながら、リュータが西暦を答える。


「えっ、二〇一六年、だけど、なに」


「そっか、もうそんなに経ったんだ。恐怖の大王来た? 烈火まだやってる? 続き、どうなった?」


 ノアの氷魔法がレツに降り注ぐ。ぎりぎりまで引きつけて一歩立ち位置を変え、レツは軽々と追尾機能付きの魔法をノーダメージで受け流した。


「ロクヨンのカセット、おもしれーの出た?」


 レツの問いかけに答える者はもういない。ヴェルターの槍が弾かれ、後方に飛んでくる。

得物が手元になくなった彼を次の攻撃から庇うため、プロフェットが単体結界――いわゆるバリアーをヴェルターの周囲に展開した。
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