短編:内緒のはずの片想い
「ひっ、く。ひぐっ! ぅえ、う……っく!」


 泣かないって決めたのに。涙は止まらないよ……!

 私がいるのは何かの建物の裏。確かレストランだったはず。

 どれくらい走ったのか分からないしどれくらい泣いたのかも分からない。

 ただ、空はもうオレンジ色で閉園時間が迫っている。

 帰らなきゃ……。でも帰りたくない。なにより、こんな顔を、お兄ちゃんに見せれない……。


「う、うぇ。っく! ど、どうしよう……」








「――どうしようじゃないだろ!!」








 いるはずのない人が、私の目の前にいる。汗だくで、息を切らして。

 え、なんで? なんでここに……。


 その疑問は言葉に出来なかった。


 お兄ちゃんが、私を抱き締めたから。


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