短編:内緒のはずの片想い
「……おにい、ちゃん?」

 抱き締め、られてる……? 呆然としているなか、お兄ちゃんが怒っている。


「なんでこんなところにいるんだよっ! なんで俺のところに来ないんだよっ! なんで連絡しないんだよっ! なんで、なんで泣いてるんだよっ! 心配しただろ! 帰って来なくて、どれだけ俺が心配したと思ってるんだよ!!」


「お、おにいちゃ……」


 何を言ってるの? だって、あんなに楽しそうにしてたよね? 女の人を抱き締めてたよね?


「家にいるときだって夜中に一人で泣いてるし! なんかあったら俺に言えって言ったのに! 全然眠れてないみたいで! 今日だって少しでも気分転換になればって思ったけど愛は何も言わない! 我が儘を一つもだぞ!? 学校にいるときだって他の男に俺には見せないような幸せそうな顔して! 俺の前では笑ってくれないのに!!」

「お兄ちゃんっ……!?」

 夜に泣いてたこと、知ってたの? 我が儘を言わないって? 俺の前では笑ってくれない?


 なに、なんなの? おかしいよ、お兄ちゃん……。

 やめて。


「どうしたら愛は俺を見てくれるのかって、ずっと考えてて! 今日だって! 頑張って恥ずかしいの我慢してアプローチしたのに! 愛は少しも反応してくれないし!」


「やめて」


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