職場恋愛
side つり目


ゆーちゃんが棒読みで『仲直りしました』って言いにきて、こうちゃんの目は死んでたからこりゃー仲直りしてねぇなとすぐに分かったんだけど、なんか普通を演じてるみたいだから深くは聞かずに大阪のホテルへ行った。


りんも気付いてるらしいけど特に触れることなく1人でペチャクチャ喋っていた。


無理矢理平静を装ってるみたいに。




夜、ホテルに到着してりんとゆーちゃんが岩盤浴に行ってる間、こうちゃんに1本の電話が入った。



3分程の短い電話だったが、どうやら仕事関係だったらしい。



「明日早番で出勤しろって、安井さんからでした」


もはや本当か分からないようなタイミングを見計らった連絡だが、まぁ本当なんだろう。


「大阪からなら2時間くらいで帰れますよね」


「帰れるだろうけど……ゆーちゃんどうすんの?」


「あー……どうしましょうね」


「なぁこうちゃん、仲直りしてないよね?」


「…………」


黙るなって。


「また怒らせた?」


「…かもしれないです。距離を置きたいって言われたんで」


え、まじかよ。
そこまで言われたのか。


「だから、結は残して俺だけ帰ります」


まぁ、そうなるか。
2人きりにさせたら気まずすぎて悪化しそうだしな。


「…分かった。一応聞くけど、こうちゃんはまだゆーちゃんのこと好きなんだよな?」


「……………好き…なんだと思いますけど。無神経に傷付けてしまうくらいだから、どうなのかなって、今分かんないです」


恋愛にも仕事にも真面目なこうちゃん。
モテるくせに。
たまにチャラいなーって思う行動を取るけど、実は不器用でただの真面目な男だったんだなーって。

今になって初めて知ったよ。



「ま、今日はゆっくり風呂入って早く寝な」


「……はい。迷惑かけてすみません」


















ゆーちゃんが岩盤浴から戻ってきても、晩ご飯を食べるときになっても、2人は一言も話すことなくついに就寝した。


朝方、5時すぎに1人無言で部屋を出て行ったこうちゃんの背中を盗み見たのは、多分俺だけではない。
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