職場恋愛
side 山野




「お前さ。あそこまで言う必要あった?」




夜中の3時すぎ。
共に帰宅したぶすくれ女をまっすぐ見る。




「あそこまでってぇ?なに」



酔っ払ったふりして。
俺が分かんないとでも思ってんの?



「こうちゃんに、ゆーちゃんのことあんなにけちょんけちょんに言わなくても良かったんじゃねーのかって」



「なにー?覚えてなぁい」



「それいつまでやる?うぜぇんだけど」



「…は?なにキレてんの」



ほら見ろ。全然酔ってねーじゃん。
下手くそなんだよ。



「お前がゆーちゃんを嫌いになったのは分かった。けどさ、あーやって誰彼構わずゆーちゃんのこと悪く言ってたらゆーちゃんと同類どころかもっとクソだぞ。分かってんの?」



つり目の引きつった顔に気付いてないわけないだろ。
それに高木ちゃんを呼んだ意味も分かんねーし。
ただゆーちゃんのことが嫌いだってアピールしたかったなら今日じゃなくても良かっただろ。

結局高木ちゃん持ちで解散になったし。


「あのね。男たちは黙って女の言うことをそうなんだって聞いてればいいの」



「………」




「それに、あんただって辞めろとか言ってたじゃん。それに乗っかってなにが悪いの?」



女は醜い生き物だな。



「あれはお前を黙らせるために言ったんだよ」


「え?待って、どういうこと?真剣に分からない」



「あぁ言えばつり目と高木ちゃんが止めに入ってお前の入る隙をなくせると思ったんだが」


思った通りには行かなかったな。



「は?じゃあ本心じゃないの?」



「そりゃな。こうちゃんはリーダーには向いてなくても使える人間だから辞められたら痛いわな」



そんぐらい察しろ。考えろ。



「いやいや、意味分かんな。そんな回りくどいことしないでよ」



「ストレートに言ったら余計うるさくなると思ってそうしたけどどっちも変わんなかったな」


< 539 / 543 >

この作品をシェア

pagetop