職場恋愛
side 逢坂



結が待つ自分の家に帰りたくなくて島田についてきてしまった。

さっきはあんな風に『イライラする』なんて言われたけれど、今結と会ったらまた喧嘩になるから。
それは避けたくて。

島田も『1泊くらい別にいーよ』と言ってくれたから甘えてしまった。
実家に帰ろうか迷ったけど結の事情知ってるし…。



「お邪魔します」


「おーん。好きにくつろいで」



1人で住むには高そうな高層マンション。
相手は島田なのに変に緊張するな…。


しっかり整理整頓された家の中はすごく意外でまじまじと見てしまった。
なんか島田って大雑把なイメージがあるからあちこち散らかってるもんだと…。

いや、失礼だよな。



「俺の部屋で寝ていいからー。寝具新調したばっかだから寝心地いいと思うよー」


「え、いいよ。床で寝るから」


確かにふかふかそうなベッド。俺と稼ぎ変わらないはずなのに、すごい。


「布団干したてだから快眠間違いないよ」


「いや、尚更床で寝るって」


「風呂は?」


いや、無視するな。


「シャワー借りたい」


「どーぞー。水とか冷蔵庫入ってるもん何でも食べていいし飲んでいいから適当にどーぞー」


うん、やっぱり適当なんだよな。
気楽で助かるけど…。









「お風呂ありがと。お待たせ」


手短にシャワーを借りてリビングへ行くと、島田は普段かけていないメガネをかけて難しそうな本を読んでいた。

なんか、職場の島田と全然雰囲気違う…。



「ん。温まってるうちに布団入れよ」


「うん。そうさせてもらおうかな」


「おやすみー」



いつもガハハと笑う島田じゃなくて、なんというかインテリっぽい雰囲気で戸惑う。

どっちが素なの?こっち?職場ではキャラを作ってるってこと?


島田の部屋に入って考えていると壁に飾られた一枚の写真が目に入った。


「え…?」



近くで見ようと一歩踏み出し、声が出た。


「ちょっと失礼、忘れ物」


声が出たのとほぼ同時に部屋のドアが開いたかと思うとすっとぼけた表情の島田がいた。



「島田…お前…」


「……………」



「これ………………」



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