ヘップバーンに捧ぐ
『わかったよ。
でも、咲良俺は諦めないからな。
また別の日に話そう』

設楽は、いたたまれない顔をしながら
去って行った。

お前と話すことなんて無いよ。
二度と、その顔見せるな。

『咲良、大丈夫か?怪我ないか?
今の男は何なんだ?』

「もう、大丈夫。何か用?」

『何かって。メール見てくれてた?
今日の午後、羽田に着くから
咲良に会いに行ってもいいか?
って打ったんだけど………
連絡無かったから、会社によってみたんだけど』

「そう、ごめんなさい。
メール見てなかった。
今日は、ご飯行けない無理。
疲れたから帰っていいかな?」

『そう…わかったわ
あなた行きましょう』

『咲良。咲良いつも我儘ばかりですまないが、
今日は、一緒に晩ご飯食べてくれないか?』

いつもとは違う、喋り方の父

この人たちは、私に対して
負い目を感じているらしく、
夕飯なども断ればそれ以上は誘って来ない。

「わかりました」

『ありがとう。
レストランを予約してるんだ
行こうか?』

大人3人の、無言の行進が始まった。





到着したのは、五島山さんのレストランだった。

「このレストラン知ってるの?」

『えぇ、まぁ。さぁ、入りましょう』



ドアノブを開けて、
そこに居たのは
専務だった。


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