極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「見ちゃったんだけど」

「……見たって?」

「蘭々ちゃんとさっき……」

 別に隠す必要はなく正直に言えばいいのだと、開き直りに近い形で先ほどのキスの件を口にした。

「ああ……アレか」

 一瞬動揺したように私から顔をそむけた涼我がそうつぶやいた後、小さくため息をついた。

「どうせ断片的にしか見てないんだろ。あれは……なんていうか……蘭々ちゃん酔ってたからな」

「え!? 信じられない。酔ってたら誰にでもするわけ?」

 それはいったい、どういう了見(りょうけん)なのか。
 酔っている女の子にはキスしていいと取れる発言じゃないか、と半ばあきれた。

 涼我のことは子供の頃から知っているけれど、そんなに女にだらしない男だったかな。
 もちろん、過去を振り返れば、これまでにも涼我に彼女がいた時期はあったけれど、どういう付き合い方をしていたのかなんて私が詳しく知る由もない。

 普段と違って、恋人には極上の優しさで接するのだろうか。
 それとも、俺は彼氏だぞと偉そうな態度で俺様ぶりを存分に発揮するのだろうか。
 もともと友達に対しても世話焼きな涼我だから、後者は想像がつかないけれど。
 恋人の前と私の前では、少なからず違うのかもしれないな、なんて想像をめぐらす。
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