極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 私は今まで三浦さんという人をまったくわかっていなかった。
 三浦さん本人も本性を隠していたから仕方ないけれど、国際弁護士でハイスペック、そんな表のいい部分しか見ようとしなかった私も悪い。
 あんなドス黒い裏の部分があるなんて心底驚いたし、人間不信になりそうだ。

 タクシーを降りて自宅マンションの部屋までたどり着いたときには、体に赤い発疹が現れていた。
 早々にトイレに駆け込み、胃の中のものを吐き出す。

 フラフラとトイレから出てソファーに沈むように座ると、なんでこんな目にあったのかと自然と涙が出てきた。
 発疹が出ている部分がかゆいし、頭が重くて顔が熱い。
 海老は吐き出したけれど、アレルギー症状はまだ続く。

 無理に食べなくてもよかったのだろうか。
 軽く後悔したけれど、食べられないと拒否していたら三浦さんになにをされていたかわからない。それくらい怖かった。
 もう……会うことはないだろう。

 以前に病院でもらった薬がまだ残っているのをふと思い出した。
 ローボードの引き出しを開けてそれを探し出し、グラスの水で錠剤を飲み込む。これでしばらくすれば楽になっていくだろう。

 バッグの中で鳴っているスマホに気づき、着信の相手を確認すると涼我だった。
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