極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
『和奏、今どこ?』

「家にいるよ」

 どうしよう、涼我の声を聞いたらまた涙腺が緩んできた。
 それは自分でもコントロール不可で、どんどん涙があふれて頬を伝う。

『話があるから、今から行っていいか?』

「……今は……ちょっと……」

 そう返事をするので精いっぱいだった。
 今のボロボロの私を見たら涼我は驚くだろうし、私もどこから説明したらいいかわからない。
 だけど涼我は私の些細な変化にも気づいてしまう人だ。

『どうした?』

「え、えっと……」

 くぐもった声を出さないようにと平静を装ってみたけれど、今の私にはそれすら難しい。

『声がおかしい。泣いてるのか?』

「涼我……」

『すぐ行く』

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