極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「ありがとね。大丈夫。適当に食べて適当に寝てるから」

『和奏のそれ、ちゃんとしてないやつだよね』

 私は樹里や涼我によくこうして注意されるけれど、ふたりのレベルの“ちゃんと“が私にはハードルが高すぎる。
 睡眠時間は規則正しく、食生活はバランスよく、が基本らしい。
 だけど、ひとりだとどうしても夜更かしもするし、ご飯も食べたり食べなかったり、カップ麺やレトルトで済ませたりしてしまう。

『一緒にご飯行けたらいいんだけど……ここ数日、残業続きなの。ごめんね。とにかく、サラダとか買って食べなよ。どうせ野菜食べてないでしょ? ビタミン不足!』

「はい。わかりました」

 私も誰かと一緒に食事する方が食欲も湧くし、樹里には涼我のことも相談したいから早く会いたいのだけど、樹里の残業や出張でタイミングが合わないので仕方がない。

『それと、涼我とけんかでもしたの?』

「なんで?」

 いきなりそんな話を振られ、驚いて聞き直してしまう。

「けんかなんかしてないけど……」

『だよね。アンタたちはけんかしないもんね』

「うん」

 涼我と私は昔からけんかにはならない。
 私が拗ねたり怒ったりしても、涼我がうまく私の機嫌を直しにかかるし、逆に涼我に怒られたとしても、そういう場合は大抵私に非があるから、ぐぅの音も出ずに謝るパターンが多いのだ。

 今回の三浦さんの件で、もし涼我から説教されるとしても、すべて受け止めるしかない。
 なぜかなにも言ってはこないけれど。

「なんで?」

『涼我が私に電話してきて、和奏がちゃんと生きてるか気にしてやってくれ、って』

「え!?」

 私が電話しても忙しいからと切ってしまい、かけ直してもくれないのに、樹里には自分から電話しているのだから不可解だ。

< 91 / 114 >

この作品をシェア

pagetop