極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「名刺渡しておくわね。なにかあったらここの携帯番号に電話してきて。結婚の報告でもなんでもいいから」

 母がせわしなく名刺入れから自分の名刺を取り出して、私の手に半ば強引に握らせる。そして「またね」という言葉と共に笑みを浮かべ、立ち去ろうとした。

「お母さん!」

 駅の改札へと向かう母の背中に声をかけると、母が振り向いてこちらに舞い戻る。

「今まで聞けなかったけど、聞きたいことがあるの」

「うん、なに?」

「どうしてお父さんと結婚したの?」

 好きに生きたらいい、それならどうしていっときは父と結婚する道を選んだのだろう。
 どうして今とは違う専業主婦をずっとやっていたのだろう。
 母と離れてから、その疑問だけがどうしても残ってしまっていた。

 結婚を決意したときは、そんなに父が好きだったのだろうか。
 好きで好きでたまらなくて、よき妻、よき母になろうとしていた……とか?

 今のは私の想像だけれど、そう答えてほしいという願望でもある。父を愛していたから、と言ってほしい、と。

「もちろん、お父さんが好きだったからよ」

 その答えが聞けてよかったと、ホッとしたのも束の間だった。

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