極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「それに、お金持ってたのよ。資産家とまではいかなかったけど、大企業に勤めてて、独身なのに結構貯金があったの。この人と暮らせばお金で苦労しない、正直そう思った。背も高かったし、優しかったしね」

 “ハイスペック”。
 やっぱり私は母の娘だ。DNAって恐ろしい。

 今の話からすると、若き日の母も父の条件に惹かれて結婚したということになる。
 母娘でそんなところが似てしまうなんて皮肉なものだ。

「ずっと専業主婦だったよね?」

「お母さんが働かなくてもやっていけるなら、最初はそれでよかったの。でもそうじゃないと気づいた。仕事って人を生き生きさせる力を持ってる。もちろん、専業主婦が向いている人はそれでいいんだけど。お母さんは働いている方がよかった」

「だからって離婚しなくてもよかったのに……」

 私がつぶやくと、母は複雑そうに笑って視線を足もとに下げた。

「離婚したのは、結婚の動機が不純だったと申し訳なさを感じてたから。お父さんを好きだったのも本当だけど、それよりも打算的な気持ちの方が強かったって、ずっと心に引っかかってたのよ」

 その申し訳ない気持ちに耐えられなくなり、母は今の新しい生き方をする決心をしたらしい。




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