俺様Dr.に愛されすぎて
「意外と映画で泣くタイプなんだな」
「だから意外ってなんですかぁ~……」
ロビーの端でソファに座り子供のように「わああ」と泣く私に、通りすぎる人々は何事かと横目で見る。
自分の気持ちを押し殺し彼女が選んだ道は、なんとも切なく悲しかった。
自分が彼女の立場だったらどうしただろう。どんな想いでどんな決断をするのだろう、と心を重ねて苦しくなる。
「マスカラ滲んでる。ひどい顔だな」
「ほっといてください~……」
涙で化粧が崩れてしまっているのだろうことは想像がつく。
けれど思っている以上にひどい顔なのだろう。ぐすぐすと泣き続けた私に、真木先生はその細長い指先で目元をそっと拭ってくれる。
「けど確かに、いい話だったな。観てよかった」
そう言って笑う、その目は穏やかなものだ。
「真木先生は、彼女が選んだ道は正しいと思いますか?」
問いかけた私に、彼は少し考えてから「……どうだかな」と小さくつぶやく。
「正しいとか正しくないとか、ないだろ。彼女が身を引いたのも、例え気持ちを譲らなかったとしても、その根底にあるのは彼を好きって気持ちだからな」
そう言いながら、彼は涙で濡れた私の頬をそっと撫でた。