俺様Dr.に愛されすぎて



触れた肩に感じる熱。それを冷ますように、ひゅう、と冷たい風が肌に触れた。

場内は、今日の気温に合わせ少し冷房が効いているのか、ひんやりと肌寒い。



上、羽織るもの着てくるべきだったかな……ちょっと寒いかも。

腕を軽くさすると、真木先生はそんな私を見て、突然ジャケットを脱ぎ始める。そしてそれを私の肩にそっとかけた。



「それ、羽織ってていいから」

「え?でもいいんですか?真木先生は……」

「俺は寒くないから。下に長袖着込んでたし」



いいのかな、と思うけれど、その優しさがまた嬉しくて甘えることにした。

微かに香る真木先生の香りに胸をときめかせるうちに、周囲は暗くなり予告から本編と映画が始まった。



映画は、江戸時代の遊郭・吉原を舞台に主人公の女性が売られてくるところから始まる。



身を売るという行為への抵抗や、遊女たちからの嫌がらせなど苦労を重ね、悩む中、出会ったひとりの武士に励まされ彼女はなんとか乗り越えていく。

いつしか彼に恋に落ちていた彼女は、その想いを彼に伝え一緒になろうと決心をする。

ところが彼に武家の娘と縁談があると知り、遊女の自分は身を引くべきだと決め、冷たい言葉で彼を突き放した。


自分の気持ちを押し殺し、その苦しさを糧に彼女は花魁となり吉原の街で生きたー……。



という、悲しくも華々しい終わりにエンドロールが終わり劇場を出る頃には、私はボロボロと号泣してしまっていた。



「いい映画でしたねぇ……うっ、うぅ~……」



ハンカチで涙を拭いながら、ぐすっ、と嗚咽交じりに泣く。

そんな私に、真木先生は困ったように笑ってみせた。



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