俺様Dr.に愛されすぎて




それから私たちは、近くのアミューズメントパークへ行き、1日はしゃいで過ごした。



ボーリング、カラオケ、バッティングに卓球……。

ひたすら汗をかきながら騒いで、永野くんのおかげでにぎやかな1日となった。





「あー、楽しかった!」



そんな1日を終えた夜。

軽く食事も終えた私たちは、帰路へとついていた。



ひとりで帰れる、と言ったけれど、永野くんは『心配なので』と駅から家までの道のりを送ってくれている。



普段社内では弟タイプとしてかわいがられている彼だけれど、こうして見ると意外と面倒見のいい子なのかもしれない。

その優しさと明るさに、今日1日助けられてしまった。



「……永野くん、ありがとね」

「え?」

「永野くんが1日一緒にいてくれたから、気持ちもまぎれちゃった。すごく、助かった」



その思いを笑顔で伝えた私に、彼は少し驚いて、黙って、笑う。



「笑ってくれてよかった。せっかくの誕生日、泣いて過ごしちゃもったいないですから」

「そうだよね。せっかくなら楽しく過ごさなくちゃ」



すると不意に足を止める彼につられるように私も足を止める。



「これからも笑顔にするって約束します。だから、俺にしませんか?」



え……?

それって、どういう意味?



たずねるようにその目を見れば、彼はまっすぐこちらを見つめた。



「永野くん?」



呼んだ名前に、彼は突然私を抱きしめる。



「えっ、ちょっと永野くん……」

「好きです。藤谷さんのこと」



体を離そうとするけれど、その言葉に動けなくなってしまう。



「俺だったら、藤谷さんのこと泣かせません。真木先生みたいに寂しい思いもさせないし、絶対毎日幸せにする」



ドクン、と聞こえる心臓の音と少し震える声は、本気の証。


< 170 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop