俺様Dr.に愛されすぎて
それから私たちは、近くのアミューズメントパークへ行き、1日はしゃいで過ごした。
ボーリング、カラオケ、バッティングに卓球……。
ひたすら汗をかきながら騒いで、永野くんのおかげでにぎやかな1日となった。
「あー、楽しかった!」
そんな1日を終えた夜。
軽く食事も終えた私たちは、帰路へとついていた。
ひとりで帰れる、と言ったけれど、永野くんは『心配なので』と駅から家までの道のりを送ってくれている。
普段社内では弟タイプとしてかわいがられている彼だけれど、こうして見ると意外と面倒見のいい子なのかもしれない。
その優しさと明るさに、今日1日助けられてしまった。
「……永野くん、ありがとね」
「え?」
「永野くんが1日一緒にいてくれたから、気持ちもまぎれちゃった。すごく、助かった」
その思いを笑顔で伝えた私に、彼は少し驚いて、黙って、笑う。
「笑ってくれてよかった。せっかくの誕生日、泣いて過ごしちゃもったいないですから」
「そうだよね。せっかくなら楽しく過ごさなくちゃ」
すると不意に足を止める彼につられるように私も足を止める。
「これからも笑顔にするって約束します。だから、俺にしませんか?」
え……?
それって、どういう意味?
たずねるようにその目を見れば、彼はまっすぐこちらを見つめた。
「永野くん?」
呼んだ名前に、彼は突然私を抱きしめる。
「えっ、ちょっと永野くん……」
「好きです。藤谷さんのこと」
体を離そうとするけれど、その言葉に動けなくなってしまう。
「俺だったら、藤谷さんのこと泣かせません。真木先生みたいに寂しい思いもさせないし、絶対毎日幸せにする」
ドクン、と聞こえる心臓の音と少し震える声は、本気の証。