俺様Dr.に愛されすぎて
確かに、真木先生とはなかなか会えない。
お互いの時間もずれてしまうこともあるし、距離も遠い。
それと比べ、私のために1日一緒にいてくれたそばで見守ってくれる彼。
一緒にいられる時間が長くあれば、寂しくて泣くこともないのかもしれない。
……だけど、違うよ。
「寂しいのは、それだけ真木先生のことが好きだから」
会いたくて、寂しさと悲しさに覆われてしまうのは、それだけ真木先生のことが好きだから。
寂しくないからと彼を選ぶのは、違う。
「会えないと寂しくて泣いちゃうこともあるけど……でも、少しのことで幸せになる。愛しくて、どうしようもないの」
寂しさも嬉しさも、感じられるのは真木先生だから。
「だから、ごめんね」
その言葉をはっきりと伝えた私に、永野くんは言葉を失い、抱きしめていた腕の力を緩める。
その時、少し離れたところから靴の音がきこえた。
それに反応するように振り向けば、そこにいたのは真木先生だった。
「真木、先生……?」
どうして、ここに……病院にいるんじゃなかったの?
驚きを隠せずにいると、私以上に驚いた永野くんは抱きしめていた腕をすぐさま離す。
そんな私たちの反応を見ながら彼は近付くと、永野くんから引き離すように腕を引っ張った。
そして半ば強引に、私を連れてその場を歩き出す。