俺様Dr.に愛されすぎて



確かに、真木先生とはなかなか会えない。

お互いの時間もずれてしまうこともあるし、距離も遠い。



それと比べ、私のために1日一緒にいてくれたそばで見守ってくれる彼。

一緒にいられる時間が長くあれば、寂しくて泣くこともないのかもしれない。



……だけど、違うよ。



「寂しいのは、それだけ真木先生のことが好きだから」



会いたくて、寂しさと悲しさに覆われてしまうのは、それだけ真木先生のことが好きだから。

寂しくないからと彼を選ぶのは、違う。



「会えないと寂しくて泣いちゃうこともあるけど……でも、少しのことで幸せになる。愛しくて、どうしようもないの」



寂しさも嬉しさも、感じられるのは真木先生だから。



「だから、ごめんね」



その言葉をはっきりと伝えた私に、永野くんは言葉を失い、抱きしめていた腕の力を緩める。



その時、少し離れたところから靴の音がきこえた。

それに反応するように振り向けば、そこにいたのは真木先生だった。



「真木、先生……?」



どうして、ここに……病院にいるんじゃなかったの?

驚きを隠せずにいると、私以上に驚いた永野くんは抱きしめていた腕をすぐさま離す。



そんな私たちの反応を見ながら彼は近付くと、永野くんから引き離すように腕を引っ張った。

そして半ば強引に、私を連れてその場を歩き出す。





< 171 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop