俺様Dr.に愛されすぎて





早足で歩く真木先生は、無言のまま。こちらを見ることもない。



ま、まずい。さっきの見られたよね?私が永野くんに抱きしめられてるところ……。

ということはもしや、永野くんの言葉も聞いていた?



『俺だったら、藤谷さんのこと泣かせません。真木先生みたいに寂しい思いもさせないし、絶対毎日幸せにする』



自分のいないところでそんなこと言われていたなんて知ったら、絶対怒るよね……!



「あ、あの……真木先生?」



家までの道を歩きながら恐る恐る声をかける。

けれど彼は背中を向けたまま、「はぁ」と小さなため息をひとつつく。



「……こんな生活、もう限界だ」

「え……?」



『限界』それってつまり、もう無理ということ?

私との関係を続けていくのは、もう無理?



……仕方ないのかもしれない。

真木先生は忙しい中必死に時間を作って、今日も落ち着いてから急いできてくれたのだろう。

なのに私は、後輩とはいえ他の男の子と過ごして、言い寄られるような隙を作って……彼の中での信頼を、裏切ってしまったのかもしれない。



けど、やだよ。

そんなこと言わないで。

限界なんて言わないで。



「真木先せ……」



その名前を呼ぼうとした瞬間、彼はこちらを振り返り私の両肩をガシッと掴み、見つめた。



< 172 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop