俺様Dr.に愛されすぎて
早足で歩く真木先生は、無言のまま。こちらを見ることもない。
ま、まずい。さっきの見られたよね?私が永野くんに抱きしめられてるところ……。
ということはもしや、永野くんの言葉も聞いていた?
『俺だったら、藤谷さんのこと泣かせません。真木先生みたいに寂しい思いもさせないし、絶対毎日幸せにする』
自分のいないところでそんなこと言われていたなんて知ったら、絶対怒るよね……!
「あ、あの……真木先生?」
家までの道を歩きながら恐る恐る声をかける。
けれど彼は背中を向けたまま、「はぁ」と小さなため息をひとつつく。
「……こんな生活、もう限界だ」
「え……?」
『限界』それってつまり、もう無理ということ?
私との関係を続けていくのは、もう無理?
……仕方ないのかもしれない。
真木先生は忙しい中必死に時間を作って、今日も落ち着いてから急いできてくれたのだろう。
なのに私は、後輩とはいえ他の男の子と過ごして、言い寄られるような隙を作って……彼の中での信頼を、裏切ってしまったのかもしれない。
けど、やだよ。
そんなこと言わないで。
限界なんて言わないで。
「真木先せ……」
その名前を呼ぼうとした瞬間、彼はこちらを振り返り私の両肩をガシッと掴み、見つめた。