俺様Dr.に愛されすぎて
「むしろ真木先生のどこがダメなの?イケメンだし優しいし、いい人だと思うわよ?この前も、雨の日に人に傘貸して濡れて帰ってたくらいだし」
「え……?」
この前、雨の日に……?
その言葉から思い出すのは、先日の、真木先生が傘を貸してくれた日のこと。
「真木先生、車通勤じゃないんですか……?」
「普段はね。ただここ何日か車の調子が悪いからって電車で通勤してたのよ」
電車、で……?
そんなこと、ひと言も言っていなかった。
電車で、ということはここから駅までの間、雨に濡れてしまっただろう。
それはきっと、私の車までの距離よりも長くて、それにもかかわらず彼は私の手元に傘を預けてくれた。
……別に、私は濡れるくらい構わなかったのに。
むしろ彼が濡れて、風邪でもひいた方がみんな困ってしまうだろう。
……だけど。その優しさを、嬉しいと感じられてしまうんだ。