俺様Dr.に愛されすぎて
「あっ、藤谷さん!いたいた!」
するとその時、向かいからやってきた宮脇さんが私を見つけると、手を振り駆け寄ってきた。
「今日14時にくるって聞いてたのになかなか来ないから、どうしたのかと思ってたの」
「へ?あっ!」
言われて、時間を確認すれば、時刻は現在14時半。予定の時間を大幅に過ぎてしまっていた。
「す、すみません!真木先生と、少し話を……」
「真木先生と?あら~?」
私の口から出た彼の名に、宮脇さんはなにかを想像したのかニヤリと笑う。
その表情ひとつで、あらぬ誤解をされていると察した。
「って、違いますから!真木先生とはなにもないです!!」
いや、なにもなくはないんだけど。キス、されたんだけど。
そんなことを知られようものなら余計にひやかされるだけだ、と必死に否定する。
「そもそも、なんでそんなに私と真木先生をひやかすんですか!」
「だってふたりとも仲良いじゃない?それに真木先生もそろそろいい年だし、藤谷さんみたいないい子とくっついて落ち着いちゃえばいいのにと思って」
別に仲いいわけじゃないけど……。
けれど否定したところで『またまたぁ~』とからかわれるのが目に見えているので余計な言葉を飲み込んだ。