俺様Dr.に愛されすぎて



「いいって」

「けど……この前のお礼なのに私が出してもらっちゃ意味がないです」

「一緒に出かけること自体が“お礼”だからいいんだよ」



真木先生は、そう嬉しそうに笑う。

そんなふうに笑われたら、それ以上強くは言えなくて、私は渋々手を引っ込めた。



出かけること自体が……って、なんのお礼にもなっていない気がするんだけど。

けど、それほどふたりの時間を楽しんでくれているということかな。



ほら、またこうやって、些細な言葉に喜ばされてる。

誰のためのお礼なのか、わからなくなってしまうよ。






それから入場時間を迎えた私たちは、ふたりでシアター内へと入った。

チケットの半券に書かれた座席へと着くと、なんとそこはペアシートだった。



ペアシートって……!

ふたりで並んで座るってことだよね?どうしよう、緊張する!



一瞬固まってしまう私に、真木先生は気にすることなくシートに腰を下ろした。



「ぺ、ペアシートって……なんで」

「デートだからな」



デートだけどさ!

しれっとした顔で言ってのける彼に、戸惑いながらも私も隣に座る。

自分の右肩と彼の左肩が触れ、胸はどき、と小さく音をたてた。


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