あなたと私の関係
「わ、彩羽ちゃん目ぇヤバ」
翌日。
いよいよ校内が文化祭モードにシフトしつつある中、私が放課後の体育館の隅で台本とにらめっこしていると、いつの間にか隣にしゃがみ込んだ圭吾先輩が昨日泣いたせいでパンパンに腫れた目を見てぎょっとする。
「なに、昨日寝れなかった?」
「そうわけではないんですけど、昨日少しある人と喧嘩しちゃいまして」
「ある人?」
「親戚のお兄ちゃんみたいな人なんですけど、お前は危なかっしいからちゃんとしろ、みたいな事を言われまして」
「それで落ち込んでるの?」
「なんというか、相手は心配してくれていたのにそれを知らず知らずのうちに蔑ろにしていたことが不甲斐ないというか、呆れられたみたいで悲しくて…」
あの後、雨宮さんとは顔を合わせていない。
朝リビングに行くと、ラップをかけておいてあったはずのご飯は綺麗になくなっていたから食べてはくれたんだろうけど。
せっかく食べてくれるようになったのに、なんだかまた振り出しに戻ってしまったみたいで思わずため息が出た。
「なにそれ、本当にそれ親戚のお兄ちゃんの話?」
「え?」
「彼氏とかじゃないの?」
「か、かかかかか彼氏!?」
「だってそれ、相思相愛じゃん」
「そっ…!?」
ケラケラと楽しそうに笑いながら言う圭吾先輩に私は軽くパニック状態。