あなたのことは絶対に好きになれない!
「……それ本気で言ってる?」

先に口を開いたのは亜水ちゃんだった。
その表情は、何だか怒っているように見える。


「う、うん」

「えー?」

納得いかない、と言わんばかりに、彼女は深い溜め息を吐いた。


「どういうこと? 同じ会社で働いてるってこと?」

「う、うん。再会したのはつい最近なんだけど」

「あれだけ泣かされてたのに、何で?」

「好きだからいじめてたって言われて、最初はもちろん避けてたんだけど、いつの間にか私も惹かれて……」

「今は優しいってこと?」

「うーん」

優しいけど、時々S発言に翻弄されるなぁ。まあそこも嫌いじゃないんだけど……。
だけど、そこで言葉に詰まってしまったから亜水ちゃんは何か誤解してしまったのか、


「ほらぁ! 昔意地悪い奴は、今も大抵意地悪いのよ! 久美香にはもっと優しさに溢れた人の方がお似合いだってぇ! 康太とかどう⁉︎ モテないけど優しいよ⁉︎」

「おい、モテないって勝手に決め付けんなよ!」

「あはははは、ごめんごめん! あははははは」


……あれ? いつの間にか亜水ちゃん、凄く酔っ払ってる。
そのまま彼女は「ちょっとあっちの男子たちと話してくる〜」とフラついた足取りで立ち上がり、その場を去った。


「全く、あいつは」

康太くんが少し呆れ気味にそう言うから、私も思わず苦笑した。


でもビックリした。オウスケくんと付き合ってること、本気で反対されてるのかと思った。酔っ払ってああいうこと言ってただけだよね。


そんなことを考えていると、康太くんが。
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