あなたのことは絶対に好きになれない!
「この書類の手続きをお願いしたいんだけど……ってあれ? 何だか顔色が悪いね。熱でもあるんじゃない?」

その言葉とともに、彼の右手が私の額へとスッと伸びてくる。


「っ!」

条件反射、と言うべきだろうか。思わず、身体ごと後退して彼を避けてしまった。


「あれ? 俺、金本さんに嫌われてるかな?」

はは、と笑いながら、彼はその書類を安藤さんに渡し、自分の席へと戻っていく。


嫌われてるかな、ですって? 大嫌いだよ!



だけど、私の隣の安藤さんが。



「はあ、早坂くんは今日も真摯で爽やかで素敵ね」


なんて言い出した。


思わず絶句して安藤さんを見つめる。


私の視線に気付いたのかそうでないのかは分からないけど、安藤さんも私に振り返り、


「金本さん、さっきはどうしたの? 早坂くんがオフィスの王子様だから近付かれて驚いちゃった?」


と言ってきた……。



お……




オフィスの王子様ぁ‼︎⁉︎




するとそこに、私の三期上の吉山さんと、一期下の山田さんが入ってきて。


「早坂くんの話⁉︎」

「私たちも混ぜてください〜〜!」


などと嬉しそうに言ってくる。


ちょっと待って。何でみんなそんなに楽しそうなの?
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