あなたのことは絶対に好きになれない!
営業室に戻ってからも、私はずっと考え込んでいた。
まさかこの数日間、オウスケくんとずっと同じフロアで仕事していたなんて……!
せめて向こうも私のことを忘れていれば、私も思い出さなくて済んだかもしれない。
でも、しっかりと覚えられていた。しかも、あの意地悪な顔! 昔と何も変わってない! 彼に近付いたら、きっと昔と同じようにいじめられる!
髪を引っ張られたり、頬をつねられたり、苦手なトマトを無理やり口に入れられたり、色々なことされたっけ……。
あの頃は小学生だったからまだ許された部分もあるけど、この年齢になってそれやられたら、完全に暴力事件だよ……。
いや、小学生だったからとか関係ない。
私は心に深い傷を負ったんだ。そのせいで、今も男性が大の苦手なんだから。
「金本さん、どうかした? 顔色が悪いけど」
不意に安藤さんに後ろから声を掛けられ、ハッとする。いけないいけない、今は仕事中。
なんでもないです、と言葉を返すと、「そう? 金本さん異動してきたばかりだし、もし何か悩みがあるなら言ってよ」と優しく言ってくれる。
……そうだ、相談とまでは言わなくても、さりげなくオウスケくんのこと聞いてみようかな? もしかしたら、私の他に彼のサドな性格に悩まされている人がいるかもしれない……!
そう思って口を開き掛けた、その時。
「金本さん」
ビクッ、と身体が震えた。
……振り向くと、そこにいたのはオウスケくんだった。
ニコニコと微笑みながら私を見ている。
その笑顔が、凄く怖い!