あなたのことは絶対に好きになれない!
「俺は、女に一方的にお願いされるのが嫌いなんだよ。
どうしても頼みたかったら、泣きながら『お願いします』ってすがりついてこいよ」


え、え? 嘘でしょ?
どれだけドSなの、この人?

泣きながらすがりついてお願いするなんて絶対嫌なんですけど〜!

でも、そうしなかったら付き合ってることを社内にバラされるの⁉︎


ど、どうすればいいの〜〜⁉︎



と、私が困っていると……。




「冗談だよ」

「え?」

「だから、冗談。お前が可愛くて大好きだから意地悪したくなっただけ」

と、彼は話す。


「誰にも知られずにお前を独り占めするのも悪くないしな」


うーん……何を考えてるのかいまいち分からないけど、とりあえず周囲に関係をバラすことはなさそうだ……。



「でも、どうして私のことを……?」

それは、純粋に生まれた疑問だった。

小学生時代、彼は私のことが好きだったらしい。
そして再会した現在も、あの頃と同じ気持ちになっているのだと言ってくる。
あれから十五年以上も経っているのに……。


「何でだろうな」

彼も首を傾げて、小さく笑いながらそう答える。


「まあ、小学生の時にクミのこと好きになった理由は、可愛いとか優しいとか、よくある理由だったと思うぞ」

「じゃあ、今は……?」

「うーん、相変わらず可愛いなとは思ったけど、また好きになった理由とはちょっと違うかもな。

正直、理由なんて自分でも分からない。
理由なんて必要ないくらい、本能がクミのこと欲してる」
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