あなたのことは絶対に好きになれない!
意地悪なくせに。

ドSなくせに。


あまりにも真っ直ぐな瞳で、真剣な声でそう言うから。


……不覚にも、ときめいてしまって。



ありえない、相手はあのオウスケくんだよ⁉︎




だけど……。




「クミ」

テーブルの上に置いていた私の右手を、オウスケくんの左手がギュッと包み込むように握る。

ビクッ、と身体が拒否しそうになる。
男性に、しかもオウスケくんに手を握られるなんて。
だけど、振り払うことは出来なくて。


「な、んですか……?」

頑張ってそう答えると、彼は少し身を乗り出して、私と距離を詰め、そして。



「クミが望むなら、俺はクミにも優しくする」

「え?」

「だからさ……



クミも安心して俺のこと好きになってよ」
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