あなたのことは絶対に好きになれない!
そんなある日のことだ。
安藤さんに言われ、審査部長に書類を届けるため、六階の審査部へとやって来た。
ドアノブに手を掛けて、だけど回すのをためらった。
……審査部長ってどんな人だっけ?
同じフロアで働く社員さんたちの顔と名前もまだよく一致していないのに、普段関わりのない本部の社員さんの顔は余計にわからない。
でもそれは個人的な言い訳だ。〝本店で働いてるくせに、審査部長の顔もわからないのか〟って思われたらどうしよう。
とりあえず、ドアノブをそっと回して、隙間から中を覗いてみる。
うぅ〜ん……! やっぱりわからない! どうしよう!
そんな風に困っていた、その時だった。
「金本さん?」
背後から、誰かに名前を呼ばれて振り返ると、そこには一人の男性が立っていた。
焦げ茶色のサラサラヘアーに、二重でパッチリとした大きな瞳。
甘いマスクだけど、背は高く、肩幅も広い。
きちっとしたスーツ姿のその男性は、一歩、私に近付く。
「こんなところで立ち止まってどうしたの?」
「ええと、あの……?」
「あ、もしかして俺の顔と名前、まだ覚えてない? 同じフロアで働いてるんだけど」
「えっ、す、すみません!」
「あぁ、いいよいいよ。金本さん異動してきたばかりだし、社員の人数多すぎてすぐには覚えられないよな。
俺は、営業課の早坂(はやさか)。よろしくな」
そう言ってーー早坂さんはニコ、と優しく微笑んでくれた。
優しそうな人だな、と感じた。
安藤さんに言われ、審査部長に書類を届けるため、六階の審査部へとやって来た。
ドアノブに手を掛けて、だけど回すのをためらった。
……審査部長ってどんな人だっけ?
同じフロアで働く社員さんたちの顔と名前もまだよく一致していないのに、普段関わりのない本部の社員さんの顔は余計にわからない。
でもそれは個人的な言い訳だ。〝本店で働いてるくせに、審査部長の顔もわからないのか〟って思われたらどうしよう。
とりあえず、ドアノブをそっと回して、隙間から中を覗いてみる。
うぅ〜ん……! やっぱりわからない! どうしよう!
そんな風に困っていた、その時だった。
「金本さん?」
背後から、誰かに名前を呼ばれて振り返ると、そこには一人の男性が立っていた。
焦げ茶色のサラサラヘアーに、二重でパッチリとした大きな瞳。
甘いマスクだけど、背は高く、肩幅も広い。
きちっとしたスーツ姿のその男性は、一歩、私に近付く。
「こんなところで立ち止まってどうしたの?」
「ええと、あの……?」
「あ、もしかして俺の顔と名前、まだ覚えてない? 同じフロアで働いてるんだけど」
「えっ、す、すみません!」
「あぁ、いいよいいよ。金本さん異動してきたばかりだし、社員の人数多すぎてすぐには覚えられないよな。
俺は、営業課の早坂(はやさか)。よろしくな」
そう言ってーー早坂さんはニコ、と優しく微笑んでくれた。
優しそうな人だな、と感じた。