あなたのことは絶対に好きになれない！

「こ、こちらこそよろしくお願いします！」

「で、話は戻るけどこんな所で何してたの？」


私は正直に、自分がこの場でまごついていた理由を早坂さんに話した。すると。



「審査部長はあの人。一番奥のデスクで、今書類をたくさん眺めてる、グレーのスーツを着た、眼鏡を掛けた人」

とても丁寧にそう教えてくれた。


「分かりました。本当に助かりました。ありがとうございます」

「全然いいよ」

頭を下げてお礼を言う私に対しても、早坂さんはとにかく優しい雰囲気で微笑む。
素敵な人だな……と、男性が苦手な私でもそう感じた。



私は、審査部に足を踏み入れると、早坂さんに教えてもらった審査部長に書類を渡した。

用が済んだら長居してはいけないと思い、さささっと審査部を後にし、廊下に出る。


すると廊下には、早坂さんがまだそこにいた。壁に寄り掛かりながら私を見て、「ちゃんと渡せた？」と聞いてくれる。