あなたのことは絶対に好きになれない!
「す、すみません。その、私……」

「俺、何か悪いことしたかな?」

「そ、そうじゃないんです。ただ……」


ああ、私ってば、こんなに優しい先輩に嫌な思いをさせてる。
男性が苦手になってしまったのは過去にいじめられたことがきっかけとはいえ、この男性が悪い訳じゃないのに……。


そんなことを考えながら俯いていると……。



「昔はもっとちゃんと、俺のこと見てくれたじゃん」



そう言われ、「え?」と思わず顔を上げたその瞬間、顔の横に早坂さんの右手が伸びてきた。
早坂さんの手は、私の背後の壁にトン、と触れる。
私は、壁と早坂さんの間に挟まれてしまった。


「なっ……」


何⁉︎ この状況⁉︎

距離が、近い‼︎

しかも早川さんの顔がどんどん近付いてくる……‼︎


「あ、のっ」

大きな声を出そうとしても、喉元が震えてそれが出来ない。


そんな私を見てか、早川さんはフッと笑って。



「ビビりなところは変わってないな? ク・ミ・ちゃん?」




……え?
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