あなたのことは絶対に好きになれない!
「でも、私には言ってくれても良かったじゃない。今日は深央ちゃんとご飯に行くんだってこと」

水やりをしていた時、私が『週末くらい早く帰ってお家でゆっくりしなよ』と伝えたら、彼は『ああ』と答えた。
あの時に本当のことを話してくれていたら、こんな風に悩まなかったのに……と思ってしまうのは、私の八つ当たり?


すると彼は。


「言おうかなとも思ったけど、俺の誕生日なんかすっかり忘れてる奴に〝今日は誕生日だから深央と飯行く〟なんて言い辛いじゃん」

「うっ……」

そこを突かれると……確かに、としか言えなくなる。

言葉に詰まる私に、彼は。


「嘘」

「え?」

「仕事終わりに姉と会う、っていうこと自体が何となく恥ずかしくて言わなかっただけ。
誕生日なんか覚えてる訳ないよな」


ーー覚えてる訳ない。

確かに、私は忘れていたし……お誕生日会のことも何も思い出せない。

だけど、彼自身にそんなことを言わせてしまったことに、ズキンと心が痛む。
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